亀の甲羅や皮膚に白いモヤモヤしたものが付いているのを見て、「これって水カビ病?それとも脱皮?」と不安になったことはありませんか。見た目がよく似ているため、判断に迷い、様子見をしてしまう飼い主さんは少なくありません。
結論から言うと、水カビ病と脱皮は見分けるポイントがあり、正しく判断すれば過度に心配する必要はありません。ただし、勘違いしたまま放置すると、水カビ病が進行してしまい、治療が長引いたり重症化するリスクもあります。
特に「そのうち自然に取れるだろう」と脱皮だと思い込んでしまうことが、治療の遅れにつながるケースは多いです。逆に、脱皮なのに病気だと誤解してしまい、余計な薬を使ってしまう失敗も起こりがちです。
この記事では、亀の水カビ病と脱皮の違いをわかりやすく整理し、症状の見分け方から正しい対処法、家庭でできるケアの考え方までを丁寧に解説します。初めて異変に気づいた方でも、落ち着いて判断できるようになる内容です。
- ・白い付着物が水カビか脱皮かを見分ける具体的なポイント
- ・水カビ病の初期症状と進行した場合の危険サイン
- ・脱皮の正常な経過と異常との違い
- ・間違えやすい対処法と正しい治療・ケアの考え方
目次
亀の水カビ病と脱皮の違いを正しく知るための基礎知識と注意点

亀の体に起こる変化の中でも、水カビ病と脱皮は特に見た目が似ているため、最初に正しい知識を持っておくことがとても重要です。どちらも白っぽいものが甲羅や皮膚に付くため、写真や一瞬の見た目だけでは判断がつきにくく、飼い主が混乱しやすいポイントでもあります。この章では、まず基本となる考え方を整理し、次の見出しで具体的な症状の違いを理解できるようにしていきます。
亀の甲羅や皮膚に白いものが付くのはカビ?
結論として、亀の甲羅や皮膚に白いものが付いているからといって、すべてが水カビ病とは限りません。正常な脱皮でも白く見えることはあり、見た目だけで病気だと決めつけるのは危険です。ただし、水カビ病の場合は進行性があり、放置すると症状が悪化するため、見分ける視点を持つことが欠かせません。
この違いが生まれる理由は、白く見える正体がまったく異なるためです。脱皮の場合、白く見えるものの正体は古くなった皮膚や甲羅の表面で、体の成長や新陳代謝によって自然に剥がれていくものです。一方、水カビ病の場合は、水中に存在するカビの一種が傷口や弱った皮膚に付着し、菌糸が増殖することで白くモヤモヤした状態になります。
農林水産省が公表している水生生物の疾病管理に関する資料でも、水カビは「水中環境の悪化や個体の免疫力低下をきっかけに発症しやすい」とされています。特に水温の変化や水質の悪化は、亀の皮膚バリアを弱め、水カビが付着しやすい条件を作ると説明されています。このことからも、単なる見た目ではなく、飼育環境や亀の状態をあわせて判断する必要があるとわかります。
実際の飼育現場では、白いものを見つけた直後に慌てて薬を使ってしまい、結果として脱皮中の亀に余計な刺激を与えてしまうケースもあります。例えば、春先に冬眠明けの亀の甲羅に白っぽい膜が浮いているのを見て水カビだと思い込み、消毒薬を使用したところ、脱皮途中だった甲羅の表面が荒れてしまったという事例は少なくありません。逆に、白いフワフワを「脱皮だろう」と軽く考えて放置し、数日後には赤くただれ、食欲まで落ちてしまったという水カビ病の悪化例もあります。
このような失敗を防ぐためには、白いものの質感や広がり方、亀の行動変化を総合的に見ることが大切です。単なる色だけではなく、「ふわっとしているか」「触ると綿のようか」「数日で広がっていないか」「亀が元気に動いているか」といった点を確認することで、判断の精度は大きく高まります。白いものが必ずしもカビではないという前提を持つことが、冷静な対応につながります。
水カビは起こりやすい?種類ごとの特徴
水カビ病は決して珍しい病気ではなく、条件がそろえば比較的起こりやすいトラブルのひとつです。ただし、すべての亀が同じように発症するわけではなく、カビの種類や飼育環境によって症状の出方には違いがあります。この点を理解しておくことで、早期発見や予防にも役立ちます。
水カビと呼ばれるものの正体は、カビというよりも「卵菌類」に分類される微生物で、水中に広く存在しています。健康な亀であれば皮膚のバリア機能によって侵入を防げますが、甲羅に小さな傷があったり、水温が低下して免疫力が落ちていたりすると、そこから繁殖しやすくなります。特に冬から春への季節の変わり目は、水温と体調の変化が重なるため注意が必要です。
公的な水産試験場の資料では、水カビ病は「低水温時に発生率が高まる」「有機物が多い汚れた水環境で増殖しやすい」と報告されています。これは、ろ過不足や水換えの頻度が少ない水槽ほどリスクが高くなることを示しています。つまり、水カビは特殊な病気ではなく、日常の管理状態が大きく影響する身近なトラブルだと言えます。
実際の飼育例を見ても、水カビ病が起こりやすい状況には共通点があります。例えば、冬場にヒーターを使わず室温任せで飼育していたケースでは、水温が下がり、甲羅の縁に白いフワフワが付着し始めたという報告があります。また、複数飼育で甲羅同士がぶつかりやすい環境では、小さな擦り傷から水カビが発生することもあります。これらは決して珍しい例ではなく、初心者からベテランまで誰にでも起こり得る状況です。
水カビには症状の出方によっていくつかの特徴があります。初期段階では、白く薄い膜のように見える程度で、亀自身は普段と変わらない行動を取ることが多いです。しかし進行すると、綿のような塊が目立つようになり、皮膚が赤くなったり、触ると取れにくくなったりします。この段階になると、食欲不振や動きの鈍さといった変化も見られることがあります。
こうした特徴を踏まえると、水カビ病は「突然重症化する怖い病気」というよりも、「見逃さなければ対処しやすい病気」と考えることができます。白いものを見つけた時点で、水質、水温、亀の元気さを落ち着いて確認することで、脱皮との違いを見極める手がかりが得られます。水カビは起こりやすいからこそ、正しい知識を持って冷静に判断することが、亀にとっても飼い主にとっても安心につながります。
甲羅に出る初期症状と進行のサイン

甲羅に現れる変化の中で特に注意したいのは、水カビ病の場合、見た目が時間とともに確実に変わっていく点です。初期段階では「少し白っぽい」「うっすら濁って見える」程度の違和感しかなく、脱皮と勘違いされやすい状態から始まります。しかし、水カビ病は自然に治るものではなく、環境や体調が改善されなければ徐々に進行していきます。
なぜこのような進行が起こるのかというと、水カビは甲羅や皮膚の表面に付着したあと、菌糸を伸ばしながら増殖する性質を持っているためです。特に甲羅に小さな傷がある場合や、水温が低く免疫力が落ちている時期は、表面にとどまらず内部に広がりやすくなります。公的な水生生物の疾病資料でも、水カビ病は「初期に気づいて対処しなければ、組織の損傷が進む」と注意喚起されています。
実際の進行のサインとしては、以下のような段階的な変化が見られることが多いです。
- 甲羅の一部が白く曇ったように見える
- 数日経っても剥がれず、むしろ範囲が広がる
- 白い部分が綿や糸くずのようにフワフワしてくる
- 甲羅の縁や傷口周辺が赤くなる
- 触るとぬるっとした感触がある、または取れにくい
初期の段階では、亀の行動に大きな変化が見られないことも多く、「元気そうだから大丈夫」と判断してしまいがちです。しかし進行すると、水から上がる時間が減ったり、動きが鈍くなったり、餌への反応が悪くなるなど、体調面にも影響が出てきます。
飼育者の体験談として、最初は甲羅の一部が白くなっているだけだったため様子見をしていたところ、一週間ほどで白いフワフワが広がり、最終的には甲羅の縁が赤くただれてしまったケースがあります。この段階で治療を始めたため、回復までに時間がかかってしまったそうです。一方で、白い濁りの時点で水質改善と隔離を行った別の例では、症状が悪化せず比較的短期間で落ち着いたという報告もあります。
このように、甲羅に出る初期症状は軽く見えやすいものの、時間経過とともに変化していくかどうかが重要な判断材料になります。白い部分が「増える」「取れない」「質感が変わる」といった動きがあれば、脱皮ではなく水カビ病の可能性を強く疑う必要があります。
亀の脱皮期間はどれくらい?異常との見分け方
亀の脱皮は健康な成長や新陳代謝の一環として起こる自然な現象であり、一定の期間をかけてゆっくり進むのが特徴です。結論として、脱皮そのものは病気ではなく、期間や見た目の変化を正しく理解していれば、水カビ病と見誤るリスクは大きく減らせます。
脱皮が起こる理由は、皮膚や甲羅の表面が古くなり、新しい組織に入れ替わるためです。特に成長期の若い亀や、活動量が増える季節には脱皮が目立ちやすくなります。公的な飼育指導資料でも、健康な亀は定期的に皮膚や甲羅の表層が剥がれ落ちることがあると説明されています。
脱皮期間の目安としては、数日から長くても1〜2週間程度で自然に進むケースが一般的です。この間、白っぽく見える部分が出ることはありますが、次第に端からめくれるように剥がれ、最終的にはきれいな状態に戻ります。重要なのは、脱皮の場合「時間とともに改善していく」という流れがはっきりしている点です。
実際の飼育例では、甲羅の表面に薄い膜のようなものが浮いて見え、数日後には水中で自然に剥がれていったというケースが多く見られます。このとき、亀は普段通り餌を食べ、動きも活発なままであることがほとんどです。触ってみても嫌がらず、赤みやただれが見られない点も脱皮の特徴です。
一方で、異常と判断すべきポイントも存在します。以下のような状態が見られる場合は、単なる脱皮とは言い切れません。
- 白い部分が2週間以上残り続けている
- 剥がれる様子がなく、むしろ厚みが増している
- 触るとフワフワ、ぬめりがある
- 甲羅や皮膚が赤くなっている
- 亀が触られるのを強く嫌がる
これらは水カビ病や別の皮膚トラブルが疑われるサインであり、「脱皮だから」と放置するのは危険です。脱皮かどうかを見分ける最大のポイントは、時間の経過とともに良くなっているか、それとも悪化しているかを冷静に観察することです。
脱皮は基本的に「待てば終わる」現象ですが、水カビ病は「待つほど悪化する」傾向があります。この違いを理解しておくだけでも、判断ミスによるトラブルは大きく減らせます。
脱皮時期はいつ?季節ごとの変化に注意
亀の脱皮は一年中いつでも起こる可能性がありますが、特に目立ちやすい時期があります。結論として、脱皮は季節の変わり目や活動量が増える時期に集中しやすく、このタイミングを知っておくことで異常との区別がしやすくなります。
脱皮時期に季節差が出る理由は、気温や水温、日照時間の変化が亀の代謝や成長に影響するためです。春から夏にかけては水温が上がり、餌をよく食べて活動量が増えるため、古い皮膚や甲羅が入れ替わりやすくなります。逆に、冬場は活動が鈍るため、脱皮の頻度は下がる傾向があります。
公的な動物飼育ガイドでも、爬虫類全般において「成長期や活動期に脱皮が多く見られる」とされています。亀も例外ではなく、特に冬眠明けや水温管理を始めた直後などは、脱皮と水カビ病が同時期に疑われやすいタイミングです。
実際の飼育現場では、春先に水温が安定し始めた頃、甲羅の表面が白っぽく見え始め、「病気では?」と不安になるケースが多くあります。しかし、その後数日から1週間ほどで自然に剥がれ、健康な甲羅が現れる場合は脱皮と考えて問題ありません。
一方で、季節的には脱皮が起こりにくい時期に白いフワフワが出てきた場合は注意が必要です。例えば、冬場の低水温環境で突然白い綿状のものが現れた場合、水カビ病の可能性が高まります。この時期は免疫力が下がりやすく、水質悪化の影響も受けやすいためです。
季節ごとの目安として、次のように考えると判断しやすくなります。
- 春〜夏:脱皮が起こりやすいが、水カビも発生しやすい
- 秋:脱皮は落ち着くが、環境変化に注意が必要
- 冬:脱皮は少なく、白い異変は病気の可能性が高い
このように、脱皮時期と季節の関係を理解しておくことで、「今の時期にこの症状は自然かどうか」を冷静に判断できます。見た目だけでなく、時期・環境・亀の元気さを組み合わせて考えることが、トラブルを早期に見抜く大きな助けになります。
亀の水カビ病、脱皮との違いを踏まえた対処法と正しい治し方

水カビ病と脱皮の違いを理解できたら、次に重要になるのが「実際にどう対処すればいいのか」という点です。見分けがついても、対応を間違えてしまうと回復が遅れたり、かえって状態を悪化させてしまうことがあります。ここでは、家庭でできる基本的な考え方から、同居飼育時に気をつけたいポイントまでを順に整理していきます。
水カビ病の治し方の基本と家庭でできる初期対応
水カビ病への対応で最も大切なのは、初期段階で正しい環境調整を行うことです。軽度の水カビであれば、必ずしもすぐに強い薬を使う必要はなく、飼育環境を整えるだけで改善に向かうケースも少なくありません。慌てて薬に頼るより、まずは基本に立ち返ることが回復への近道になります。
水カビ病が起こる背景には、水質の悪化、水温の低下、免疫力の低下といった要因が重なっていることが多いです。水中に存在する水カビ自体は珍しいものではなく、健康な亀であれば問題にならないことも多いです。しかし、体調が落ちているときや小さな傷があると、そこから増殖しやすくなります。このため「菌を完全に排除する」という考え方より、「亀が回復しやすい環境を作る」という視点が重要になります。
公的な水生生物の疾病対策資料でも、初期対応としてまず推奨されているのは、水質改善と飼育環境の安定です。具体的には、汚れた水を新しい水に替え、水温を適正範囲に保つことが、症状の進行を抑える基本対策とされています。これは、薬に頼らずとも自然治癒力を高めることで、軽度の症状が落ち着く可能性があることを示しています。
家庭でできる初期対応として、まず行いたいのは次のポイントです。
- 水槽の水を全量または半分以上交換する
- 底砂や飾りを一度取り出し、洗浄する
- ろ過装置が正常に動いているか確認する
- 水温を急激に変えず、安定させる
- 亀の様子を毎日観察する
これらは特別な道具がなくてもできる対応であり、最初に必ず行いたいステップです。特に水換えは効果が高く、白いフワフワが広がり始めた段階で実施したことで、それ以上悪化しなかったという例も多くあります。
実際の飼育例では、甲羅の縁に白い綿状のものが見られた段階で、毎日少量ずつ水換えを行い、水温を一定に保ったところ、数日で白い部分が目立たなくなったケースがあります。この場合、薬は使用せず、環境調整のみで回復しました。一方、水換えを後回しにして様子を見ていたケースでは、白い部分が広がり、最終的に薬が必要になったという報告もあります。
また、初期対応として一時的に「乾燥時間」を設ける方法を取る飼育者もいます。これは、水から出して甲羅を乾かす時間を少し増やすことで、水カビが増えにくい環境を作る考え方です。ただし、長時間の乾燥は亀にとって負担になるため、短時間から様子を見ることが大切です。
水カビ病の基本的な治し方は、「環境を整え、進行を止め、必要であれば次の段階に進む」という流れです。初期の段階で落ち着けばそれに越したことはなく、まずは家庭でできることを丁寧に行う姿勢が重要になります。
水カビ病はうつる?同居飼育時の注意点
水カビ病についてよくある疑問のひとつが、「ほかの亀にうつるのか」という点です。結論から言うと、水カビ病は風邪のように直接感染する病気ではありませんが、同居環境では結果的に広がるリスクがあります。この違いを正しく理解することが、適切な対応につながります。
水カビの原因となる微生物は、水槽内の水や環境中に広く存在しています。そのため、一匹が発症したからといって、その個体から別の亀へ直接うつるわけではありません。しかし、同じ水槽で飼育している場合、水質が悪化していたり、他の亀にも小さな傷があったりすると、同じ条件下で複数の個体が水カビ病を発症することがあります。
公的な水産関連機関の資料でも、水カビ病は「接触感染」というより「環境由来の疾病」として扱われています。これは、病原体よりも環境条件の影響が大きいことを示しており、同居飼育では特に水質管理が重要になる理由でもあります。
実際の飼育現場では、同じ水槽で複数の亀を飼っている場合、一匹に水カビが見つかったあと、数日から一週間ほどで別の亀にも白い症状が出てくるケースがあります。この場合、「うつった」というより、もともと悪かった水質や低水温の影響が、複数の亀に同時に表れたと考えた方が自然です。
同居飼育時に特に注意したいのは、甲羅同士の接触やケンカによる傷です。複数飼育では、甲羅がぶつかったり、エサの取り合いで小さな擦り傷ができたりしやすくなります。そこに水カビが付着すると、発症のきっかけになりやすくなります。
このため、水カビ病が疑われる個体が出た場合には、次のような対応を検討すると安心です。
- 可能であれば一時的に別水槽で管理する
- 同居水槽の水換え頻度を上げる
- 他の亀の甲羅や皮膚も毎日確認する
- エサの取り合いが起きないよう配慮する
隔離と聞くと大げさに感じるかもしれませんが、これは「感染防止」というより「回復を早めるための環境作り」という意味合いが強いです。別管理にすることで、水温や水質を個体ごとに調整しやすくなり、治りが早くなることもあります。
実例として、同居飼育していた二匹の亀のうち、一匹だけに水カビが見られたため、発症個体を別ケースで管理し、水換えと水温管理を徹底したところ、もう一匹には症状が出なかったというケースがあります。逆に、そのまま同居を続けた場合、両方に白い症状が広がってしまったという例も報告されています。
水カビ病は「うつる・うつらない」という単純な話ではなく、「同じ環境にいるかどうか」が大きなポイントになります。同居飼育では、一匹の異変を水槽全体のサインとして受け止め、早めに環境を見直すことが、結果的に全員を守ることにつながります。
薬は何を使う?市販薬と動物病院の違い

水カビ病の治療で薬を使うべきかどうかは、多くの飼い主さんが悩むポイントです。結論から言うと、症状の軽さや進行具合によって適した選択肢は変わり、必ずしも最初から動物病院に行かなければならないわけではありません。ただし、市販薬と動物病院で処方される薬には明確な違いがあり、それを理解せずに使うと、思わぬ失敗につながることがあります。
まず市販薬についてですが、亀の水カビ病に使われるものとしては、観賞魚用の抗菌・抗真菌薬や、爬虫類向けとして販売されているケア用品があります。これらは比較的入手しやすく、軽度の水カビ症状に対して使用されることが多いです。市販薬の特徴は、成分の濃度が抑えられており、飼育者が扱いやすいように設計されている点にあります。
一方、動物病院で処方される薬は、獣医師が亀の状態を直接確認したうえで選ばれます。抗真菌作用のある外用薬や、場合によっては内服薬が使われることもあり、症状が進行しているケースや、自己判断が難しい場合に効果を発揮します。公的な獣医学関連資料でも、皮膚や甲羅の感染症が進行している場合は、専門家の診断を受けることが推奨されています。
実際の違いをわかりやすく整理すると、次のように考えると判断しやすくなります。
| 項目 | 市販薬 | 動物病院 |
|---|---|---|
| 入手のしやすさ | すぐに購入できる | 受診が必要 |
| 効果の強さ | 比較的穏やか | 症状に合わせて調整される |
| 対象 | 軽度・初期症状向け | 中度〜重度向け |
| 安全管理 | 自己判断が必要 | 獣医師が管理 |
実例として、甲羅の一部に小さな白いフワフワが出始めた段階で、市販のケア用品と水質改善を併用したところ、数日で症状が落ち着いたケースがあります。この場合、進行が見られなかったため、病院に行かずに済みました。一方で、白い部分が広範囲に広がり、甲羅の赤みや食欲低下が見られたにもかかわらず、市販薬だけで様子を見てしまい、結果的に治療が長引いた例もあります。
ここからわかるのは、「薬を使うかどうか」よりも「今の状態に合った選択をしているか」が重要だということです。軽度であれば市販薬と環境調整で十分な場合もありますが、改善が見られない、悪化している、判断に迷うといった場合は、早めに動物病院を頼る方が結果的に安全です。
薬はあくまで手段のひとつであり、万能ではありません。水カビ病の背景には飼育環境の問題があることが多いため、薬だけに頼らず、水質・水温・管理方法を同時に見直すことが、再発防止にもつながります。
イソジンは使える?正しい使い方と注意点
水カビ病の対処法として、インターネットや口コミでよく見かけるのが「イソジンを使ってもいいのか」という疑問です。結論として、イソジンは使われることもありますが、使い方を間違えると逆効果になる可能性があり、慎重な判断が必要です。
イソジンは本来、人のうがい薬や消毒薬として使われるもので、殺菌力が強いのが特徴です。この強い作用によって、水カビの増殖を抑える効果が期待される一方、亀の皮膚や甲羅にとっては刺激が強すぎる場合があります。特に原液や濃すぎる濃度で使用すると、健康な組織まで傷めてしまう恐れがあります。
獣医学や水生生物のケアに関する資料でも、消毒薬の使用については「希釈濃度と使用時間を厳守すること」が強調されています。これは、殺菌効果と生体への負担のバランスが非常に重要であることを示しています。
実際にイソジンを使う場合、自己判断でいきなり使用するのではなく、次のような点を守ることが大切です。
- 必ず薄めて使用する
- 短時間のみ患部に触れさせる
- 使用後は真水でしっかり洗い流す
- 毎日連続して使わない
- 使用中に異変があれば中止する
飼育者の実例では、甲羅の縁に限局した水カビに対して、薄めたイソジンを綿棒で軽く当て、すぐに洗い流す方法を数回行ったところ、白い部分が目立たなくなったケースがあります。ただし、この場合も水質改善と乾燥時間の確保を同時に行っており、イソジン単独で治したわけではありません。
一方で、広範囲に症状が出ている状態でイソジンを使い続けた結果、皮膚が荒れてしまい、回復までに時間がかかった例もあります。このようなケースを見ると、イソジンは「万能薬」ではなく、「使う場面を選ぶ補助的な手段」と考えるのが適切です。
特に注意したいのは、脱皮と水カビを見誤った場合です。脱皮中の亀にイソジンを使ってしまうと、本来不要な刺激を与え、トラブルを引き起こす可能性があります。白いものの正体に確信が持てない場合は、イソジンを使う前に環境調整や経過観察を優先する方が安全です。
イソジンを使うかどうか迷ったときは、「本当に今必要か」「ほかにできることはないか」を一度立ち止まって考えることが大切です。判断に不安がある場合は、無理に使わず、動物病院に相談する選択肢も視野に入れると安心です。
まとめ:亀の水カビ病と脱皮の違いを正しく見極めるポイント
亀の水カビ病と脱皮は、見た目が似ているため判断が難しい反面、見極めるポイントを押さえていれば冷静に対応できるトラブルです。ここまで解説してきた内容を踏まえると、大切なのは「すぐに薬に頼ること」ではなく、「今起きている変化を正しく理解すること」だとわかります。
水カビ病は、白いフワフワが広がったり、取れにくかったり、時間とともに悪化していく傾向があります。一方、脱皮は自然な生理現象であり、期間をかけて少しずつ剥がれ、最終的にはきれいな状態に戻ります。この違いを意識するだけでも、不要な治療や放置による悪化を防ぐことができます。
実際の飼育現場では、「様子を見すぎて悪化させた」「逆に心配しすぎて余計な処置をしてしまった」という両方の失敗例が見られます。こうした失敗を減らすためには、次のような視点を持つことが役立ちます。
- 白い症状が時間とともにどう変化しているか
- 亀の元気さや食欲に変化がないか
- 季節や水温などの環境条件はどうか
- 水質管理が適切にできているか
これらを総合的に見ることで、「今は経過観察でよいのか」「環境調整が必要か」「薬や病院を検討すべきか」といった判断がしやすくなります。特に初期段階では、水換えや水温管理といった基本的な対応だけで改善するケースも多く、落ち着いて行動することが重要です。
薬についても、市販薬、動物病院、イソジンなどさまざまな選択肢がありますが、どれも使いどころを間違えると逆効果になります。「強い方法ほど良い」という考え方ではなく、「今の状態に合っているか」を基準に選ぶことが、亀の負担を減らすことにつながります。
水カビ病と脱皮の違いを正しく見極められるようになると、日々の観察にも自信が持てるようになります。小さな変化に気づき、早めに対応できる飼い主であることが、亀の健康を長く守る一番の近道と言えるでしょう。
- ・白い付着物は脱皮でも起こるため、見た目だけで水カビ病と決めつけないことが大切です
- ・水カビ病は「広がる・取れにくい・質感がフワフワ/ぬめる」など、時間とともに悪化しやすい傾向があります
- ・初期対応は水質改善と水温の安定が基本で、同居飼育では環境の見直しと隔離の検討が有効です
- ・薬やイソジンは使い方次第で逆効果になるため、症状の程度に合わせて無理せず動物病院も選択肢に入れます
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